宇宙バエこと「universal okappo trinitrotoluene group」は非常に猟奇的でサイケデリックなバンドだ。
メンバーは中塩健吾(Gt)、パーマー(Ba)、しりのあな裂太郎(Syn)、大城龍馬(Dr)の4人。
実をいうと私は中塩君からちょくちょく溝楽のスタジオ音源を聴かせて貰っていた。当時は月曜6限の講義が同じで、よくその話題で盛り上がったのを覚えている。Rovoや初期のTortoiseを思わせるそのサウンドは日を追う毎にクオリティが上がり、いつしかその虜となっていったのだ。そして今もそのデモ音源を聴きながらこれを書いている。その溝楽のピークこそ、先に挙げた11/26という訳だ。
しかし新たな境地を築いたかに思えたバンドは、ベーシスト・パーマーの失踪により同年12月26日の軽音忘年会ライブを以ってあっけなく解散してしまう。ラストライブではベース不在でありながらも、披露された「ファッキンパーマー」の盛り上がりが異常であったため当時のベストアクトという呼び声も高い。実はここにも幾つか裏にエピソードはあるのだが、私は暴露話をしたい訳でないし好きなバンドのメンバーへの手前もあるのでここでは差し控えたい。
色々と書き連ねてはみたが、これらが結成してからたったの8~9ヵ月の出来事ということを踏まえてほしい。そして唯一の映像を観て、自分の目と耳でこのバンドが如何にポテンシャルの高い存在であったかを再確認してほしい。少なくとも私は同い年でこんなバンドを組む人間と知り合い、間近でそのライブを観られた経験を誇りに思っている。
去年の秋か冬、結成が宇宙バエとほとんど同期だった私のバンドもいよいよ終わりが近いと中塩君に打ち明けた時、彼は「結局最後は一人になるんだよ」と笑いながら言っていた。その頃もう中塩君は一人でライブハウスのイベントに定期的に出演していたし、イベントで共演する場合も多かった。君は高校の頃からもともと一人で曲を作っていただろと思ったが、その心構えは大事なものだった。難しいとは思うが、このバンド特有の問題とそれに於ける宇宙バエの潔さみたいなものも伝われば嬉しい。
今、パーマー以外のメンバー3人は個々で楽曲を作っている。不定期だがライブも行っている。リアルタイムで追い掛けられる。解散後、宇宙バエに魅了させた人は特にだ、この機会を逃さない手はない。
2012.4.4 tgwm_kyj
Discography:
自主レーベル「おっぱいパブ」より、計130分に及ぶスタジオセッションと、芸工祭2010で披露された「10session」のライブ音源を収録した3枚組デモCD『宇宙バエの会合』がある。(廃盤)